先日(アマゾンで12/10、全国書店で12/20)、雑誌『岩戸開き 第4号』が発売開始となりました。ウェブサイト「岩戸開きオンライン」では、都市伝説でおなじみの関暁夫さんがナビゲーターとして、毎回、独自の視点から、本誌のコンテンツに絡めて、宇宙的&スピリチュアルな関ワールドを語ってくださいます。

『岩戸開き』ナビゲーター 関暁夫さん 

相手に自分の首を差し出す本物の感謝の心があるか?

「ありがとう」の本当の意味

前回、愛国心の話の中で、「今の日本人は感謝や道徳心を忘れた民族」とお伝えしました。

では、感謝の心とは何でしょうか。
感謝、感謝といっても、言葉の上っ面でなくて、本当の感謝ですよ。
多くの日本人は、いつの間にか「ありがとう」の本当の意味をはき違えてしまっています。
「ありがとう」「有り難う」。
有ることが難しい。当たり前に有るものじゃない。
貴重なもの、かけがえのないものに対する心の働きです。
「一つひとつが有り難い」ということを腹の底から理解するのが、感謝の気持ちです。

 

 

日本語には、長い歴史や和の文化から醸成された精妙な言葉の価値観や感受性がたくさん詰まっているけれど、他の国々の言語は残念ながらそこに至っていないんです。

それは何かというと、日本語の「有り難う御座いました」「御座いました」がないんです。
今の日本人は、ありがとう=THANK YOUと一緒になってしまっていて、THANK YOU VERY MUCHも「大きなありがとう」という程度であって、本質が全然違うんですよ!

日本語では、「有り難う」の後に「御座いました」があることによって、「御座」という、しっかりとした土台ができる。そこが重要なんです。

湯呑みでたとえると、下に茶托があって、上に湯呑を置いて、対になる。夫婦として一つになる。お膳されているものが完成し、一つの宇宙を成しえている。すると、「有る」ものすべてに、感謝できるようになるんです。

「おもてなし」は命を捧げること

日本人は昔からおもてなしの民族ですが、おもてなしとは、面が見えないくらいに頭を深く下げて相手を歓待すること。最大限に相手の存在をリスペクトする態度として、面を隠す。だから、おもてなしなんです。相手に対して、自分が首を捧げるということは、昔なら首を斬られる覚悟です。

 

 

遠路はるばる来てくれた客人の御足労に対して「わざわざ有り難う御座います」と言って、相手の存在に心から感謝し、こうべを垂れて、命を奉げる。
それに対して、相手も、「こちらこそ盛大な歓待に感謝いたします」といってこうべを垂れ、命を奉げる。
「有り難う」に対して、「有り難う」で返す。

お互いに命を奉げ合って、ゆだね合って、共存する。
だから、調和して宇宙が生まれる。

おもてなしも、命を賭した感謝なしではできません。
そのくらいの覚悟がありますか?

日本語の「有り難う」という言葉は、本来そういう意味であり、本気の感謝とはそういうことなんです!

 

アルファベットは、たかだか26文字から成る言語なので、感受性の表現もその中に限定されてしまいます。

でも、日本語のひらがなは46音、濁音(が、ぎ、ぐ…など)、半濁音(ぱ、ぴ、ぷ…など)の23音を合わせたら69音と、もうケタ違いです!

数え方で多少文字数は変わるけれど、とにかく、日本語にはそれだけ、精妙な心の働きや感情、感受性を表現する言葉がたくさんあるということ。日本の長い歴史で培われてきた言葉には、日本古来の精神性がたくさん詰まっているんですよ。
「御座いました」というすばらしい精神性が本当はあるのに、うわべだけの「ありがとう」を口先で言っていても、本質的な感謝にはつながらないし、上っ面の「ありがとう」では、真髄は生まれない。

感謝の本質を取り戻すために

なぜ、日本人は感謝の心を忘れたのか?
それは戦後教育です。戦後の解体で国民から天皇陛下を抜かれたことにより、
心のバイブルがなくなり、大人から子どもまで共通しての道徳教育ができなく
なってしまいました。

感謝は精神性で感じるものだから、精神性を培っていない人間から本物の感謝が生まれるわけがない。
学校、家庭、社会全体で道徳を教えることがなくなり、感謝を精神性で感じる場所がなくなってしまった。戦後の高度経済成長時代を迎えて、企業は利益に走り、人々は自分たちの暮らしを少しでもよくしようとやっきになり、大事な心の教えを無くし、本物の感謝の心を忘れ、崇高な精神性も失われました。

 

 

今なんか、若い人たちは、「ありがとう」も「ごめんなさい」もすべて「すいません」で済ます時代になっちゃった。
スマホで、「あ」と打つと、予測変換で「ありがとう」、「す」と打つと「すいません」と自動的に出てきて、それを押すだけ。言霊は宿らないし、そこに心からの感謝はない!

言葉が乱れるとき、世の中が乱れる。
日本語が乱れるということ=日本が乱れるということ。
その先はもう終焉に向かいます。
もちろん、大人も同じ。今一度しっかりと現状を認識し、大人たちが立ち上がり、子供たちにしっかり背中を見せていかなきゃいけない。そうでないと、日本の未来はありませんよ。

今、一人ひとりができること。それは、感謝の本質を取り戻す!

 

プロフィール/ 関暁夫 Akio Seki
Mr.都市伝説。日本のミステリーテラー。人気番組「やりすぎ都市伝説」などテレビ・ラジオ番組で活躍しながら、YouTuberとしても登録者数約47万人を有し、活動の幅を広げ、進化し続けている。書籍『Mr.都市伝説』シリーズは累計300万部のベストセラー。
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