【UAP特集】日本でもUAP調査は行われている? 防衛省・自衛隊の対応を調べてみた

『岩戸開き』第26号の特集は「UAPディスクロージャー」

岩戸開き第26号 表紙画像

2026年8月21日発売の最新号(第26号)は、「UAPディスクロージャー元年」をテーマにした特集号。UFO議連や研究者・識者による、情報開示と人類の意識変容についての多角的な視点をお届けします。
今後も皆様の意識の目覚めに役立つ情報を、丁寧にお届けしてまいります。

この記事で分かること(要約)
  • 防衛省・自衛隊はUAPをどう位置づけているのか
  • 2020年に定められた「識別不能の物体」への対応
  • 中国の偵察用気球問題で何が変わったのか
  • 日本政府はUAPを実際に確認しているのか
  • UFO議連が政府に求めている新たな対応とは

    「日本政府はUFOを調査しているの?」――。UAP(未確認異常現象)への関心が世界的に高まるなか、こんな疑問を持つ人も多いのではないか。結論からいえば、日本には米国のAARO(全領域異常解決局)のような、UAPを専門に扱う独立した政府機関は現在のところない。

    一方、防衛省・自衛隊は、国の安全保障に影響を及ぼす可能性がある「空中における識別不能の物体」について、報告、記録、分析を行う体制をすでに整えている。では、日本ではUAPをどのように扱っているのだろうか。

    「UFO」ではなく「識別不能の物体」として対応

    日本政府のUAP対応を理解するうえで重要なのが、2020年9月に防衛省が示した方針だ。当時の河野太郎防衛大臣は、わが国の防衛・警備に影響を及ぼすおそれのある「空中における識別不能の物体」を確認した場合、報告を徹底するとともに、可能な限り写真撮影などによる記録を行い、分析するよう指示した。

    ここでいう「識別不能の物体」は、必ずしも宇宙から飛来した何かを意味するものではない。実際、河野氏は当時の会見で、宇宙から来た物体かどうかではなく、「識別不能な物体」をしっかり記録し、分析していくことが重要だと説明している。つまり、防衛省が問題にしているのは「宇宙人の乗り物かどうか」ではなく、正体を特定できない飛翔体が安全保障上の脅威となる可能性である。これは現在のUAPをめぐる国際的な議論とも共通する考え方だ。

    自衛隊はUAPを見つけているのか?

    ここが気になる点だろう。2023年12月の衆議院安全保障委員会で、政府は、防衛省が2020年に定めた「識別不能の物体」への報告・分析体制について説明する一方、それまでに、そのような物体を確認したとの報告は上がっていないと答弁している。翌2024年3月の同委員会でも、政府参考人は同様の説明をしている。

    ただし、これは「日本の空に正体不明のものが一度も現れていない」という意味ではない。自衛隊は日常的に領空侵犯への対処や警戒監視、情報収集を行っている。そこで確認されたものが航空機や気球、ドローンなどと識別されれば、それは通常の対象として処理される。重要なのは、「未確認」という状態と、「存在しない」ということは同じではないという点だ。

    中国の偵察気球問題が示したこと

    日本のUAPをめぐる議論で、忘れてはいけないのが気球問題だ。2023年、防衛省は、2019年、2020年、2021年に日本の領空内で確認されていた特定の気球型飛行物体について分析を進めた結果、中国が飛行させた無人偵察用気球であると「強く推定」したと発表した。防衛省はこれを受け、中国政府に事実関係の確認を求めるとともに、今後、外国政府の無人偵察用気球を含め、気球に対する情報収集・警戒監視を強化するとしている。

    この事例は、空に浮かぶ正体不明の物体を「気球だから問題ない」と簡単に片づけることができないことを示した。それが民間の気象観測用気球なのか、ドローンなのか、外国の偵察装置なのか、それとも別の何かなのか──正体を特定することそのものが、安全保障上重要な意味を持つ。

    日本政府は米国とも情報共有

    もう一つ注目したいのが、米国との連携だ。2024年3月の衆議院安全保障委員会で政府は、防衛省・自衛隊と米国政府との間で、平素から緊密に連携し、情報共有や分析を行っていると説明した。ただし、具体的な内容については、相手国との関係などから明らかにできないとしている。

    2026年5月、米国がUAPに関する大量の資料を公開した際には、日本政府もその情報に注目した。木原稔官房長官は、日本の安全保障に関係するUAPについて、米国などと緊密に連携しながら、継続的に情報収集・分析を行っていると説明。日本側が保有する関連資料を公開する可能性については、情報収集能力などが明らかになるリスクも踏まえ、個別具体的に判断するとしている。

    つまり、日本政府はUAPを完全に無視しているわけではない。一方で、現時点では米国のようにUAPを専門的に扱う政府組織を設け、その調査結果を体系的に公開する段階には至っていないといえる。

    「日本版AARO」は誕生するのか?

    こうした状況に対し、2024年に発足したのが、超党派の「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」、いわゆる「UFO議連」だ。議連はUAPを単なる超常現象としてではなく、安全保障上の問題として捉え、政府による情報収集・分析体制の強化を求めてきた。

    そして2026年5月、UFO議連は木原官房長官に対し、UAPに関する情報を政府内で一元化し、内閣官房に司令塔機能を確立することなどを求める提言を行った。さらに、UAPを目撃した人が、周囲からの揶揄や不利益を恐れず報告できる制度の整備も提案している。背景には、2025年に佐賀県の玄海原子力発電所上空で「三つの光」が目撃された事案などをめぐり、関係機関の情報を一元化する必要性が浮かび上がったこともある。

    これが実現すれば、日本のUAP対応は、防衛省だけに任せるのではなく、内閣官房を中心に警察、海上保安庁、気象、科学など関係機関が情報を共有する方向へ進む可能性がある。

    「分からないもの」を放置しないために

    UAPをめぐる議論では、「宇宙人なのか」「異星文明なのか」という問いが注目されがちだ。しかし、安全保障という観点から見ると、もっと現実的な問いがある。
    「それが何なのかわからないとき、私たちはどう対応するのか」

    未確認の飛翔体が、自然現象なのか、民間航空機なのか、ドローンなのか、外国の偵察装置なのか、それとも現時点の技術では説明できない現象なのか。まずは観測し、記録し、データを集め、分析する。そして危険性があれば適切に対処する。これはUFOを信じるか、信じないかとは別の問題だ。

    米国でUAPの情報公開が進み、日本でも国会議員による議論が活発になるなか、日本政府がどのような調査・分析体制を構築していくのか。「未知のもの」を恐れるのではなく、未知であるからこそ冷静に調べる――。その姿勢が、これからの日本のUAP対応にも求められているのではないだろうか。

    まとめ

    日本には現在、UAPを専門に調査する政府機関はないが、防衛省・自衛隊は安全保障に影響する「識別不能の物体」について、報告・記録・分析を行う体制を整えている。米国との情報共有も続くなか、UFO議連は政府に情報を一元化する司令塔機能の設置を提言。日本のUAP対応は、次の段階へ進むのか注目されている。

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