「あなたは死んだ人と話しているのではない」― ノストラダムスが語った、生と死の境界

死と生の間シリーズ 第2回

死んだ人と話しているのですか。そう問われたら、あなたは何と答えるでしょうか。

前回このシリーズでは、『イエスと接した二人』を通して「死は終わりなのか」という問いをたどりました。

今回取り上げる『ノストラダムスとの対話』では、その問い自体をさらに揺さぶる出来事が語られています。生きているとはどういうことか、死んでいるとはどういうことか。その境界線は、私たちが思うほどはっきりしたものではないのかもしれません。

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『ノストラダムスとの対話』
ドロレス・キャノン 著/ナチュラルスピリット刊

ノストラダムスとの対話は、どう始まったか

ドロレス・キャノンの画像

ドロレス・キャノンは、長年かけて培ってきた独自の退行催眠の技術を応用し、ある女性を深いトランス状態に導くことで、16世紀フランスの予言者ノストラダムスとされる存在との対話を試みました。もともとは、クライアントの過去世の記憶を呼び覚ますために磨き上げてきた技法です。

それを、時代も国もまったく異なる人物との対話にまで広げていったところに、彼女の探究心の強さがうかがえます。目的は、彼が遺した難解な四行詩の予言を、本人の言葉で解き明かしてもらうことでした。

最初にこの役割を担ったのはエレナという女性でした。セッションが重ねられるうちに、エレナを通して語られる「ノストラダムス」は、単なる歴史上の人物の解説者ではなく、独自の人格を持った存在として姿を現していきます。

「あなたは死んだ人と話しているのではない」

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対話が進む中で、キャノンはある葛藤を抱えていました。「死者に話しかけている」と周囲から非難されることがあったのです。ところが、あるセッションで、ノストラダムス側からこんな趣旨のことが伝えられます。自分たちはまだこの瞬間を生きている、あなたが話しているのは死んだ人ではなく、今のあなたと同じように生きている存在なのだ、と。

生者と死者を単純に分けて考えていた私たちの前提を、この一言は静かに揺さぶります。過去に生きた人物との対話は、はたして「死者との交信」なのか、それとも、時間や空間の区切り方そのものが、私たちが思っているほど絶対的ではないということなのか。

死と生のはざま ― もう一冊の本への伏線

物語が進み、最初の協力者エレナが去った後、キャノンは別の女性ブレンダとともに実験を続けます。あるセッションで彼女は、ブレンダを深いトランス状態からさらに先、「死と生のはざま」とも言うべき、いわゆる「死んだ」状態へと導きました。

人は生きているあいだ、意識の焦点が身の回りの物理的な現実に強く縛られてしまう。けれど、その状態を離れると、まるでベールが引き裂かれたように、より多くの知識にアクセスできるようになる。キャノンはそう記しています。

興味深いのは、この体験について、キャノン自身が「詳しくは別の著書に書いた」と述べていることです。そこで名前が挙がっているのが、英語で"Between Death and Life – Conversations with a Spirit"という一冊。

これはまさに、今回のシリーズのきっかけとなった新刊『死と生の間』の原題にあたります。つまり『ノストラダムスとの対話』は、新刊が生まれる土台となった体験そのものに、本文の中で直接触れている一冊だったのです。

「いわゆる死んだ」という言い直し

対話を重ねた後年、キャノンは振り返って、ノストラダムスという存在についてこう記しています。彼を「死んだ」という言葉で片づけることはできない。むしろ「いわゆる死んだ」と言い直すべきだろう、と。ノストラダムス自身も、自分は今も生きており、対話しているのは死者ではないのだと、繰り返し強く主張していたといいます。

この体験は、パラレルワールドという考え方が現実にあり得るのではないか、というキャノン自身の問いにもつながっていきます。時間や次元を超えて、誰かが「今、生きている」と主張する。その言葉をどう受け止めるかによって、私たちの死生観そのものが変わってくるのかもしれません。

生と死を分ける境界線そのものを見つめ直す

「生きている」と「死んでいる」を、はっきり二つに分けられるものとして捉えるか、それとも地続きのものとして捉えるか。「岩戸開き」を読んでこられた方にとっては、後者の視点はすでに馴染みのあるものかもしれません。それでも、実際の対話記録という形で示されると、頭でわかっていたつもりのことが、また違った角度から迫ってくるように感じられます。

前回、『イエスと接した二人』では「死は次なる奉仕の旅ではないか」という視点に触れました。今回の『ノストラダムスとの対話』は、そこからさらに一歩踏み込み、「生きている」「死んでいる」という区分そのものが、私たちが思うほど確かなものではないかもしれない、という問いを投げかけています。死をどう捉えるかだけでなく、生と死を分ける境界線そのものを見つめ直す。そんな視点の広がりが、このシリーズを通して少しずつ積み重なっていきます。

あわせて読みたい・次回予告

新刊『死と生の間 ―この世のすぐ隣にある「他界」から届いたメッセージ』はまさに今回触れた「死と生のはざま」の体験を、キャノン自身が正面から描いた一冊です。あわせて手に取ってみてください。

次回、シリーズ第3回では『地球に来たボランティアソウルの3つの波と新しい地球』を取り上げます。魂はどこから来て、どこへ還っていくのか――今度は「生」の始まりの側から、同じ問いをたどっていきます。
(文:雨宮 玄)

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『死と生の間』

ドロレス・キャノン 著/ナチュラルスピリット刊

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