
死と生の間シリーズ 第1回
死んだら、すべては終わってしまうのでしょうか。それとも、何かが続いていくのでしょうか。誰もが一度は抱くこの問いに、生涯をかけて向き合い続けた人物がいます。
退行催眠(前世療法)のエキスパート、ドロレス・キャノン。
彼女が遺した一冊、『イエスと接した二人』を通して、「死とは何か」「生とは何か」という問いを、あらためてたどってみたいと思います。
好評発売中!

『イエスと接した二人』
ドロレス・キャノン 著/ナチュラルスピリット刊
未知の世界を記録し続けた人 ― ドロレス・キャノンという人物

ドロレス・キャノンは、1931年にアメリカ・ミズーリ州で生まれました。若くして海軍軍人と結婚し、20年ものあいだ、軍人の妻として家族とともに世界各地を転々とする暮らしを送ります。
彼女の人生が大きく動き出したのは、1968年のことでした。アマチュアの催眠療法士だった夫が、ある女性に催眠術をかけたところ、思いがけず「過去世」の記憶に触れてしまったのです。当時、過去世というテーマはまだ広く知られておらず、真剣に調査する研究者もほとんどいませんでした。ドロレスはそこに強く興味を引かれます。
子育てが一段落したのち、彼女は本格的に退行催眠の研究に乗り出します。独自の手法を編み出し、1979年からは数百人ものクライアントに退行催眠を行い、そこで語られた記憶や情報をひとつひとつ記録・分類していきました。そして1986年、その探究はさらに未知の領域へと広がります。UFOが着陸したとされる現場を実際に訪れて調査し、ミステリーサークルの調査にも足を運ぶなど、催眠室の中だけにとどまらない、フィールドワーカーとしての顔も持つようになっていったのです。
UFO遭遇者への退行催眠から、古代文明、そして死後の世界まで。ドロレス・キャノンが生涯をかけて向き合ってきたのは、常に「まだ知られていない世界」でした。まるで、目に見えない領域から届く声を、丹念に聞き取り、記録し続けたレポーターのような存在だったと言えるかもしれません。2014年に彼女がこの世を去ったあとも、その記録は世界各国で翻訳され、読み継がれています。
『イエスと接した二人』は、そんな彼女が手がけた数多くの記録の中の一冊です。
二人の女性が見た、もうひとつの生

本書は、退行催眠療法士ドロレス・キャノンが、二人の女性クライアントに催眠を施した記録です。彼女たちの意識は、二千年近く前のガリラヤやエルサレムへとさかのぼり、そこで実際にイエスと関わりを持った人物としての記憶を語り始めます。
出会い、癒やしの場に居合わせた体験、神殿のある古代エルサレムでの暮らし。それらは歴史書に書かれた出来事ではなく、一人の人間が、そこで実際に見て、感じたこととして語られていきます。信仰の対象としてではなく、生身の人として描かれるイエスの姿は、読む人に「もし自分がその場にいたら」という想像を促します。
死の瞬間、何が起きたのか
物語は終盤、イエスの死という出来事へと近づいていきます。磔刑の様子を語る章では、痛みや恐れとともに、その場に居合わせた人々の心の揺れも描かれます。ここで語られているのは、単なる歴史的事件の再現ではありません。「死ぬ」という瞬間に、人の意識に何が起きるのかという、より根源的な問いです。
そして本書は、最終章で一つの答えのようなものを差し出します。その章のタイトルは「死は次なる奉仕の旅だった」。死を、すべてが途切れる終着点としてではなく、形を変えて続いていく旅の、次の一歩として描いているのです。
生と死は、地続きなのかもしれない

興味深いことに、ドロレス・キャノン自身の著作リストには、英語で"Between Death and Life"というタイトルの一冊が並んでいます。日本語版のタイトルは『死と生の間』。つまり、今回のシリーズで取り上げる『イエスと接した二人』は、ドロレス・キャノンが生涯をかけて探究してきた「死と生の間にあるもの」という同じ問いの、一つの現れだったとも言えます。
死と生を、まったく別のものとして切り離すのではなく、地続きのものとして見る。
そうした視点は、当たり前のようでいて、日々の暮らしの中ではなかなか持ちづらいものです。誰かを見送るとき、あるいは自分自身の死を想像するとき、私たちはつい「そこで何もかもが終わる」という前提で考えてしまいます。
けれど、もしそれが「終わり」ではなく「次の奉仕の旅」だとしたら。悲しみの質は変わらなくても、そこに込める意味は、少し違って見えてくるかもしれません。
死とは何か、生とは何かを、あらためて
『イエスと接した二人』が教えてくれるのは、遠い過去の一つの物語であると同時に、「死とは何か」「生とは何か」という、時代を超えて誰もが向き合う問いそのものです。紙媒体「岩戸開き」を読んでこられた方にとっては、どこか馴染みのある感覚かもしれません。それでも、退行催眠という具体的な手法を通して語られると、頭でわかっていたつもりのことが、もう一段深いところで腑に落ちる瞬間があります。
このシリーズでは次回、『ノストラダムスとの対話』を取り上げます。「生きている」と「死んでいる」という境界そのものが、実はそれほど確かなものではないかもしれない——そんな視点に触れていきます。
死と生のあいだにあるものを、もう少し深く知りたいと感じた方は、キャノン自身がこのテーマに正面から向き合った一冊、最新刊の『死と生の間 ―この世のすぐ隣にある「他界」から届いたメッセージ』も、あわせて手に取ってみてください。
(文:雨宮 玄)
出典:『イエスと接した二人』
ドロレス・キャノン著/采尾英理訳(ナチュラルスピリット刊)












