
日本人の主食である米。
これまで「安心で安全」というイメージが強かったが、2020年以降、米業界には新たな闇が浮上している。
コロナ禍、円安、異常気象による不作などが重なり、米不足や価格高騰が現実化。
特に2025年は新米の価格高騰が鮮明になり、消費者の不安が高まった。
2024〜2025年の“令和米騒動”──供給ショックが続く
2024年夏に起きた米不足は、2025年に入っても尾を引いた。
猛暑などの天候要因と需要回復が重なり、備蓄放出や輸入での調整が行われたものの、需給は依然としてタイトだ。
政府の備蓄米放出時に行われた随意契約の報道は「特定業者優遇」疑惑を生み、業界の透明性が改めて問われている。
2025年産新米の“想定外”価格暴騰

2025年産 新米の店頭価格は例年を大きく上回る水準に
2025年8月に出回り始めた新米は、5kgあたり約4,200円という報告が見られ、前年に比べ約1.4倍の値付けになった地域があるほか、地域や銘柄によっては5kgで7,000円近い高値が確認された例もある。
これはJAが提示した概算金(農家への仮払い価格)が前年度比で大幅に上昇したことが直接的要因の一つで、農家側のコスト・収入補償が小売価格へと直結した結果である。
備蓄米放出は行われたが、放出量や品目(銘柄)構成、流通スピードには限界があり、特にブランド米や新米の店頭価格抑制には十分に機能しなかった。
消費者の購買行動が価格上昇をさらに助長するという悪循環も観察されている。
流通のブラックボックス化──在庫と取引の不透明さ
米トレーサビリティ制度は存在するものの、リアルタイムでの在庫把握や流通の可視化は進んでいない。
倉庫に眠る余剰米がいつ市場に出るか分からない非対称情報の構造が、価格の乱高下や業者間の情報格差を生む。
これが「米業界の闇」の中核のひとつだ。
【米トレーサビリティ制度とは】 米がどこで生産され、どのように流通してきたかを記録・表示する仕組み。 原材料の調達から生産、消費、または廃棄に至るまでの全工程を追跡可能な状態にすることを指す。 日本語では「追跡可能性」や「生産履歴」とも訳される。 産地偽装や不正流通を防ぐ目的で2010年に導入されたが、リアルタイムでの在庫把握まではできず、流通の透明性には限界がある。 |
偽装問題は消えたのか?──制度と摘発の限界
大規模な産地偽装事件は2020年代には目立ちにくいが、それは摘発の難しさや制度上のハードルが影響しているからだ。
ブレンド米への古米・輸入米の混入や表記の“すり合わせ”など、消費者が見抜きにくい不正は依然として起こりうる。
消費者が取るべき実践的な対策
- 産地や生産者が明確な商品を選ぶ(ラベル・生産者情報を確認)
- 農家直販、地域の直売所、信頼できる通販サイトを活用する
- 価格が極端に安いブレンド米や出所不明の安売りには注意する
- 複数店舗の価格を比較し、家計に応じた買い方を検討する
まとめ
2020年以降、米業界は「偽装」という派手な事件よりも、供給構造の歪み、流通の不透明さ、政策決定の見えにくさといった“影の事件”で揺れている。
特に2025年の新米価格高騰は、消費者生活へ直結する重大な警鐘だ。
私たち消費者は、産地情報を確認し信頼できるルートで購入することで、自分の食の安全と地域農業を守る一歩を踏み出せる。
(注)本文中の価格・事例は公的機関・経済調査・報道を総合して整理したもので、地域や銘柄によって差異があります。
お米の本質と令和のコメ騒動を特集!
★「コメ騒動」の深層 占領期から続く農政のゆがみ
/東京大学大学院農学生命科学研究科 特任教授 鈴木宣弘
★「消えた米」の真実 誰が米価を吊り上げたのか
/キャノングローバル戦略研究所 研究主幹 山下一仁
★シリーズ「食」と「農」特別編
令和の米騒動が告げる日本の分岐点/中村いづみ
★お米でつながるコミュニティーでの新しい生き方
/一般社団法人キブツ八ヶ岳 代表 滝沢泰平
★お米農家とともに守る種・食・環境・自分たちの暮らし
/NPO法人メダカのがっこう 理事長 中村陽子
★お米と霊性 日本人の心を支える神聖な糧
/獣医師・自然療法・霊性探求研究家 森井啓二
★本来の‘お米’とはどんなお米?/自然の仕組み研究チーム
★連載 市村よしなり。さんが実体験から得た気づき
第15回◯「お米について」
★瀬織津姫穂乃子さんから「日本人と米との結び付き」についてメッセージ
お米とは何か? 令和の米騒動から見えてくる社会の問題点とお米の本質!
/瀬織津姫穂乃子
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