皆さん、こんにちは。私はRyohZen。聖物鑑定士です。
世の中には“本物”を謳うスピリチュアル・グッズがあふれています。
でも、本当に力を持っているのはほんのわずか。
そんな“本物の聖物”を見極めるのが「聖物鑑定士」です。
今後、折を見て、世界各地で鑑定した“本物”を皆さんにご紹介しようと思います。
第1回目はフィリピンで“発見”した真聖グッズのお話しです。
ヨーロッパとアジアの魔術が合体⁉
20世紀によみがえった
「太古の魔法具」とは
ドイツで開かれた研究会での驚くべき出会い
2024年5月、私はドイツで開かれた、ある超心理学の研究会に参加しました。世界各地から能力者、心理学者、精神科医、民俗学者などさまざまな分野の研究者が集まり、「超常現象」について議論する場です。
そこでは世界のさまざまな事例が発表されました。どれも非常に興味深く、「本当にそんなことがあるのか」と思わせる、驚くべき事例ばかりでした。
その中に私の興味をひく発表がありました。ひとりのフィリピン人の女性祈祷師の活動についてでした。
聞けば、「ヨーロッパとアジアの魔術が合体した太古の魔法具」を駆使して、さまざまな奇跡を起こしているといいます。
発表では彼女の活動状況と魔法具の概要に触れただけでした。でも、彼女と魔法具に“本物”を直感した私は、研究会が終わったその足で、フィリピンへ飛びました。
フィリピンで聞いた、ひとりの男性の体験
二ノイ・アキノ国際空港の到着ロビーで、ひとりの男性が出迎えてくれました。女性祈祷師について発表した研究者の助手で、名前をジョシュアさんといいます。
ホテルのバーで祈祷師訪問の段取りを打ち合わせていたとき、ジョシュアさんは自身に起きた不思議な出来事を話してくれました。
なんと、彼は祈祷師の魔法具の力を体験したひとりだったのです。
ジョシュアさんは昨年まで、ひどい体調不良に悩まされていたといいます。どこで診てもらっても原因は分からず、日を追うごとに悪化してゆきました。
しまいには夜中に幻聴が聞こえるようになり、外出もできなくなったそうです。
「自分は狂ってしまったのかもしれない」
そう悩んでいたとき、訪ねてきた友人から件の祈祷師を紹介されたそうです。彼女のもとを訪ねると、魔法具を授かりました。藁にもすがる思いでそれを使うと、その夜、不思議な夢を見たといいます。
真っ黒い物体が床から渦を巻いて天井へ向かって吹きあがり、天井にぶつかると雲散霧消しました。あまりの衝撃に飛び起きてしまったジョシュアさんは瞬間、とても不思議な感覚を覚えたといいます。
「身体を誰かに抱擁されている感じでした。しかも、ものすごい爽快感があったんです」
翌日から、体調は嘘のように良くなったそうです。
「私がこうして無事に生きていられるのは、彼女と彼女がくれた魔法具のおかげです」
この話を聞き、私は“本物”を確信しました。
なぜなら、女性祈祷師と魔法具は明らかに「精神と物質」に作用していたからです。
100年にひとり出るか出ないかの祈祷師
向かったのは、マニラから南へ行ったところに浮かぶ、ある島。街の中心部から少し離れた、閑静な住宅街に建つ瀟洒な家へ案内されると、小柄な女性が迎えてくれました。
「ようこそ、アドリアナ・ウォイフ・アラバといいます。あなたがいらっしゃることは精霊に示されて、1年前から分かっていましたよ。ようやく会えましたね」
驚く私にアドリアナは言いました。
「あなた、私の力と私の使う魔法具が何に作用するのか、もう分かっているんでしょ?」
そして、おもむろにその魔法具を見せてくれました。
「『カウア』といいます」
ドイツの研究会で発表されたので、魔法具の名前と形は知っていましたが、力までは実感できません。実物の放つ力は私の想像をはるかに超えていました。
ひと言も発せられず、ただ魔法具を凝視するばかりの私に、彼女はこんな話をしてくれました。
フィリピンには今もあまたの祈祷師が活動し、人々の日々の悩みを解決しています。ただし、祈祷師には霊力の違いによって、霊格に序列があるといいます。
「私はナタポスです」
「ナタポス」とはもっとも霊格の高い祈祷師のことで、フィリピンでも彼女を入れてほんのわずかしかいないそうです。
「ナタポスの大きな特徴は、異なった系統の魔術を融合して相承している点です」
魔術は師から弟子へ受け継がれます。なかにはナタポスを目指して複数の祈祷師に師事し、それぞれの系統の魔術を相承しようとする者がいるといいます。
「でも、融合できる者はほとんどいません。100年にひとり出るか出ないかです」
彼女はそう語ると、自身がナタポスになった事情を話してくれました
フィリピンを襲った大凶事で出会った、祈祷師と魔女
アドリアナはオーストリア人の母とフィリピン人の父の間に生まれました。この点が、彼女がナタポスになった大きな理由のひとつです。
なんと、両親はともに祈祷師だったのです。
ふたりはそれぞれの地で、霊格の高い祈祷師として活躍していました。そんなふたりが出会う、ある大きな事件がフィリピンで起こります。今から40年ほど前のことです。
当時、フィリピンで唯一のナタポスで、もっとも霊格の高い祈祷師だったピヌア・フェリフがこんな発表をしました。
「フィリピン全土が邪悪な力に吞み込まれようとしている!」
フェリフはその霊力の高さから、当時、政財界のあまたの有力者が相談にやってくる、いわば、「フィリピンの最高神官」ともいうべき存在だったそうです。
彼はこの一大事を解決すべく、国内の高名な祈祷師をケソン近郊に建つ聖堂に呼び集め、邪悪な力を祓う大規模な浄化の儀式「ダキラン・マヒカ」を執り行いました。
このとき、儀式の先導役を務めたのが、アドリアナの父・ジャイスでした。じつは、ジャイスはフェリフの右腕として活躍した祈祷師で、邪悪な力の存在をいち早く察知したのが彼だったからです。
儀式の様子は国民にも公開されたそうです。しかし、何日続けても一向に効果は現れません。そこでフェリフは、自身に縁のある世界中の祈祷師や魔女に協力を呼びかけました。それに応じて海外からあまたの祈祷師や魔女が来訪。その中のひとりに、アドリアナの母・ウォイフがいました。
当時、ウォイフはオーストリアでも有名な魔女でした。とくに浄化の魔術では右に出る者がいないといわれていました。
フィリピンの祈祷師たちをジャイスが先導し、海外から集まった魔女・祈祷師たちをウォイフが先導。こうして3週間後、邪悪な力は消えたといいます。
生まれながらのナタポス
儀式後、フェリフの跡を継いだジャイスはウォイフと結婚。身ごもって1週間後に、両親は不思議な光景を幻視したそうです。
白と黒の渦が絡み合って一つになり、光り輝く少女の姿になる、というものでした。
「両親がいうには、私が生まれるまで、ほぼ毎日幻視したそうです」
アドリアナによれば、「黒い渦」は父親の魔術の力、「白い渦」は母親の魔術の力だと両親から教えられたといいます。
「ふたつの魔術が私の中でひとつになることを表わしていたのです。つまり、私は生まれながらにしてナタポスだったのです」
その言葉の通り、彼女は幼いころから不思議な力を発揮しました。
嵐を予言したり、失せ物や失踪者を探し当てたり、ときには病気を癒したこともあったそうです。彼女の不思議な力の評判は瞬く間に世に広がり、フィリピン各地から相談者が訪れるようになりました。
こうして13歳になったとき、ナタポスとしての道を歩む日が来ました。
ある日、学校からの帰途、師は突然、誰かに呼び止められました。
「私に従ってきなさい。疑わずに。あなたの運命は今こそ開かれます」
彼女はこの日が来るのを幼いころから分かっていたといいます。
声に導かれるまま歩みを進めると、自宅から2キロばかり離れた森にたどり着いたそうです。
「そこは私が幼いころから夢で見た場所でした。精霊の住む場所です。声の主はその住人のひとりでした」
自宅から近いところにその場所があったことに驚いたといいます。
「夢に見た場所がどこにあるのか、それまでまったく見当もつきませんでした。精霊が、時まで来るまで隠していたのです」
しばらくその場で祈ったあと、自宅に戻って両親に事の次第を告げました。
すると、父・ジャイスと母・ウォイスは黙って、それぞれの持つ魔法具をアドリアナに手渡したといいます。
「それがカウアです」
カウアにまつわる伝承と預言
カウアを授かってから、彼女は両親からそれぞれの魔術を習いました。
普通の人なら習得に最低10年はかかるといわれますが、彼女はたった1年で両親からすべてを習得しました。
こうして“異なった系統の魔術を融合して相承する祈祷師”ナタポスが正式に誕生しました。
ところで、ナタポスとカウアにはどんな関係があるのでしょうか。
アドリアナ曰く、カウアは、白いペンデュラム「リヒト」と黒いペンデュラム「カディリマ」というふたつの魔法具の総称だそうです。彼女の家に代々伝わる魔術書『カサイサヤング・マグクラン』という希書に、カウアついてこんなことが書かれているそうです。
太古、地上にひと柱の神が降り立ち、ひとりの人物にふたつの魔法具を与えました。
その者は霊的にも肉体的にも優れており、人々を導くにふさわしいと神が判断したためでした。
リヒトは浄化する力を、カディリマは破邪の力を発揮しました。こうしてカウアを授かった者は人類最初の王となり、地上に平和をもたらしたそうです。
しかし、時が経ち、王の子孫はだんだんと慢心を起こし、地上をわがものにするためにカウアを使うようになりました。
その様子を見た神は怒り、カウアを奪って地の果てに投げ捨ててしまいました。
そして神はこのように預言したそうです。
「未来、邪悪な力が地上を襲うとき、再びカウアは世に出るだろう」
やがて時が経ち、今のヨーロッパの地でひとりの魔女がリヒトを見出しました。
以後、霊力の高い魔女だけに継承されてきたといいます。彼女の母・ウォイスはその継承者でした。
一方、カディリマは、今のフィリピンの地で、ひとりの祈祷師に見出されました。
これも同じく、霊力の高い祈祷師だけに継承されてきました。彼女の父・ジャイスはその継承者でした。
「40年前のダキラン・マヒカで邪悪な力を退けられたのは、じつは母のリヒト、父のカディリマの力があったからなのです」
ふたりの出会いと結婚、そして彼女の誕生と相承を通して、ふたつの魔法具は再び「カウア」としてひとつになりました。
「神の預言は私で成就しました。東西の魔術が私の中で融合し、太古の魔法具がよみがえったからです」
カウアはどのように生まれるのか
では、ここでカウアについてもう少し詳しくお話ししましょう。
『カサイサヤング・マグクラン』にはこのように書かれているそうです。
「霊木サグラドンプを2かけら用意せよ。一方の霊木には白い霊石プティを付けよ。それがリヒトである。一方には黒い霊石イティムを付けよ。それがカディリマである。霊石は神の指である」
アドリアナによれば、ここに書かれた霊木と霊石は、特定の木や石を指しているのではないといいます。
「聖地で見出した木と石を魔法によって聖化させたもののことを指しているのです」
師の言う「聖地」とは13歳のときに精霊に導かれた土地のことです。
そこで見出した木を成形し、人指し指の形に成形した石をはめます。
そして満月の夜、それぞれに対して、月と星の力を宿せる「マギン」という儀式を執り行うそうです。
「白い石をはめたほうには『ダリサイ』という魔法を、黒い石をはめたほうには『マタタッカ』という魔法をかけます」
こうして、聖地で見出された木と石はそれぞれ霊木、霊石に変化し、カウアが誕生するのです。
リヒトの力
では、まずは「リヒト」についてお話ししましょう。
白いペンデュラムで、浄化の力を発揮します。具体的には以下のような働きをします。
①持つ人の霊格を上げると同時に、物質的な豊をもたらす
人や物に付着して特別な力を与える不可視のエネルギー体のことを「マナ」といいます。マナには正と負があり、リヒトは正のマナにあふれた場所を示してくれます。そこに行くことで、霊的に向上し、付随して物質的な豊かさをもたらすとされます。
②空間を浄化し、持つ人を負のサイクルから解放する
霊的にも物質的にも悪影響を及ぼす「負のマナ」に満たされた場所を浄化します。結果、原因不明の負のサイクルから、持つ人を開放し、心身の健康をもたらします。最初にお話ししたジョシュアの体験がこれに当たります。
カディリマの力
つづいて「カディリマ」です。
黒いペンデュラムで除魔の力を発揮します。具体的には以下のような働きをします。
①負のサイクルの原因を突き止める
霊格を下げ、物質的にも貧困などをもたらす場所、あるいは負のマナが噴出する場所を特定できます。結果、負のサイクルの原因を除くことできます。
②未来を予知できる
自分に悪影響を及ぼす状況や場所、人などを前もって知ることができます。同時に、それらを避けることで訪れる未来をあらかじめ知り、その未来を実現するための行動の指針を得ることができます。
カウアの本当の役割とは
さて、世の中のすべての事象は、目に見えるものと目に見えないものの相関関係で成り立っています。人は多くの場合、物質的な豊かさを求めます。
「物質的な豊かさ」というと、社会的な成功や金銭的な充実などを想像するかもしれません。しかし、それだけではありません。
家族が幸せに生きられること、大切な人が幸せであること、そして世界平和も、じつは物質的な豊かさのひとつといえます。
つまり、物資的な豊かさとは「目に見える幸せや豊かさ」と言っていいかもしれません。
カウアはこのような「物資的な豊かさ」をもたらします。
しかし、それは「霊的な向上」や「霊的な健康」があって、はじめてもたらさせることを前提にしています。
カウアはまず「精神」に作用します。精神に作用することで、その人から発せられるエネルギーに変化が生じます。その変化は環境や周囲の人々に影響を及ぼし、目に見える形で状況が変わりはじめます。
私が冒頭で「精神と物質に作用する」といったのは、このことを指しているのです。
アドリアナはこう言いました。
「カウアの本当の役割はマナの調整です。マナが正か負のどちらかに極端に偏らないようにすることなのです。正と負のバランスをとることで、真に調和した世界が実現するのです」
「未来、邪悪な力が地上を襲う時、再びカウアは世に出るだろう」
この預言は40年前の出来事ではなく、本当は地球全体が調和を失いつつある現代を指しているのかもしれません。
プロフィール/ RyohZen
真理瞑想所「佯狂院」院主。聖物鑑定士。東洋医学博士、文学博士。
大学の仏教研究の一環として、根本説一切有部の律を学ぶべくチベットに渡航。僧院で10年間修行し、顕教と密教を修めた。そこでの神秘体験を通して、「世界の実相」について思索を深め、その答えを求めてシリアへ渡る。
かの地でキリスト教に改宗し、修道院で修行。その間、ギリシア語、アラム語、ヘブライ語を習得し、ナグ・ハマディ文書の研究を深め、現地の学会で論文を発表した。
3年後、宗教を越えて真理に達したというエジプト人スーフィーに出会い師事。ムスリムとなって2年間修行したのち、開悟を体験して帰国。「RyohZen」の名で、佯狂院を開創した。
現在は修行で得た霊的な感性と、オリエンタルの文化で醸成された科学理論に基づいて、さまざまな相談を受けるかたわら、聖物鑑定士として「本物のスピリチュアル・グッズ」の鑑定と発見のため世界を巡っている。
多くの有名人が相談に訪れるが、所在地は、一般には一切公開されていない。