直観はなぜ当たるのか? ―「虫の知らせ」を科学の視点で読み解く

『岩戸開き』第27号の特集は「直観を磨く」

岩戸開き第27号の表紙画像

初めて会った人なのに、なぜか親しみを感じる。いつもと同じ道なのに、今日は何か違う気がする――。そんな経験はありませんか。理由をうまく説明できないまま、何かを感じ取る。こうした感覚は「直観」と呼ばれます。

10月22日発売の『岩戸開き 第27号』の特集は「直観を磨く」。連動記事の第3回となる今回は、「虫の知らせ」や直観を、科学の視点から見つめてみます。

直観は、どこからやってくる?

心理学には、本人が自覚できないまま持っている知識を指す「無意識の知識(潜在的な知識)」という考え方があります。私たちは、意識して考える前から、さまざまな情報を受け取り、処理していると考えられているのです(注1)。

例えば、相手の表情や声の調子、ちょっとしたしぐさ。本人は気づいていなくても、そうした小さな変化を手掛かりに、相手の気持ちや状況を感じ取っている場合があります。

長年の経験が、瞬時の判断につながることもあります。熟練した職人がわずかな違いに気づいたり、経験豊富な人が相手の様子から異変を察知したりするのも、その一例でしょう。直観は、何の手掛かりもなく突然生まれるとは限りません。自分では意識していない情報や、これまでの経験が関係している可能性があるのです。

「虫の知らせ」は脳からのサイン?

「ふと家族のことが気になって連絡したら、ちょうど困ったことが起きていた」「なぜか出かける気になれず予定を変更したら、結果的によかった」――。こうした体験をすると、「虫の知らせだったのかもしれない」と感じることがあります。

そのすべてを科学で説明できるわけではありません。ただ、普段とは違う声の調子や相手の様子の変化などを、無意識のうちに感じ取っていた可能性は考えられます。

一方で、偶然が重なった場合もあるでしょう。不思議な体験を大切にすることと、その理由をすぐに決めつけないこと。この二つは両立できます。

身体が先に何かを感じている?

直観を受け取るイメージ画像

大事な場面で胸がドキドキする。初めての場所で、理由もなく緊張する。反対に、ある人と一緒にいると、なぜか安心する。私たちの身体は、こうした感覚を通じて、さまざまな情報を伝えています。

身体の内側の状態を感じ取り、解釈する働きは「内受容感覚」と呼ばれます。心拍や呼吸、胃腸の状態などに関わる働きで、感情との関係も研究が進められています(注2)。また、日常でいう「勘(gut feeling)」を身体の状態から説明しようとする「ソマティック・マーカー仮説」という考え方もあります(注1)。

ただし、身体の感覚がいつも正しい判断につながるとは限りません。疲れているときや不安が強いときには、物事を悪く受け止めてしまうこともあります。「なんとなく嫌だ」と感じたら、その感覚を無視する必要はありません。すぐに結論を出さず、「なぜそう感じたのだろう」と少し立ち止まってみることも大切です。

直観が当たったと感じるとき

直観が当たった経験は、強く印象に残ります。一方で、予感が外れたときのことは、意外と忘れやすいものです。心理学には、自分の考えを支持する情報に注目し、反対の情報を軽視しやすい「確証バイアス」という考え方があります。

例えば、悪い予感がした日に小さなトラブルが起きると、「予感が当たった」と感じるかもしれません。何事もなく一日が終わった場合は、予感そのものを忘れてしまうこともあります。自分の直観の傾向を知りたいなら、予感したことを簡単にメモして、後から結果を振り返ってみるのも一つの方法です。

直観と予知は同じもの?

直観と聞くと、未来を見通す「予知」を思い浮かべる人もいるかもしれません。ただ、経験や身の回りの情報を手掛かりに判断することと、通常の感覚では知り得ない未来の出来事を知ることは、分けて考える必要があります。

後者については、現在のところ科学的に確立した根拠があるとはいえません。だからといって、不思議な体験をした人の気持ちや、その体験が本人にとって持つ意味まで否定する必要はないでしょう。科学で説明できる部分と、まだ説明しきれない部分。その両方を受け止めながら、自分の感覚と向き合っていく姿勢が大切です。

直観を磨く、暮らしの3つのヒント

① まずは自分の感覚を受け止める
「何か気になる」「少し違和感がある」と感じたら、無理に打ち消さず、いったん立ち止まってみましょう。

② 身体の状態にも目を向ける
疲労や睡眠不足、不安などが判断に影響することもあります。大切な決断の前には、心身の状態を振り返ってみましょう。

③ 直観を事実と照らし合わせる
気になることがあったら、直観だけで決めつけず、具体的な情報も確かめてみましょう。直観は、判断の出発点として活用できます。

まとめ ― 科学とスピリチュアル、両方の視点で直観を磨く

直観には、これまでの経験や無意識の情報処理、身体の感覚などが関係している可能性があります。一方で、偶然や思い込みが影響することもあり、いつも正しいとは限りません。自分の感覚を大切にすることと、事実を確かめることは矛盾しません。「なぜ、そう感じたのだろう?」と自分に問いかけてみる。その小さな習慣が、直観との上手な付き合い方につながるのではないでしょうか。

10月22日発売の『岩戸開き 第27号』特集「直観を磨く」では、社会心理学者の八木龍平さんをはじめ、ネドじゅんさん、はせくらみゆきさん、ジュリアン・シャムルワさん、並木良和さん、野中鉄也さんら、さまざまな立場のスペシャリストが直観について語ります。科学の視点に加えて、スピリチュアルの視点からも直観を深めたい方は、ぜひ誌面を手に取ってみてください。
(岩戸開き編集部)

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